3年半前。とあるお寺に坐禅を組みに行きました。60分と短い時間だから余裕だろうと思っていましたが、開始5分くらいで頭の中は様々な考え事でいっぱいに。
もう煩悩だらけです。60分の内に何回か「無」になれましたが、すぐに考え事が頭をよぎり、「無」でい続けられませんでした。
自分の集中力の無さに思わず笑えてきましたが、そんな中でも気づいたことがあります。
それは心と呼吸と姿勢は影響し合うということ。
心と呼吸と姿勢
精神が落ち着いていて「無」の状態でいられた時は呼吸も深く、みぞおちをゆるめたあぐらの体勢でい続けられました。
ですが、頭の中が煩悩だらけになった時は呼吸も浅く、みぞおちをゆるめたあぐらの体勢でい続けられず、背筋を伸ばしたり、お尻の位置を動かしたりとモゾモゾモゾモゾしてました。
多分叩かれるタイプの坐禅をだったら、完全に肩を叩かれていたと思います。
この3つの関係性は客観的に見るとよくわかります。
例えば、何でも冷静に対処できる方は、比較的呼吸は深く、姿勢も猫背でもなければ反り腰でもない、もっともリラックスした姿勢をしています。
逆にせかせかしていたり、焦りやすかったり、心配性だったりと、常に頭で何かを考えている方は、呼吸は浅く、猫背や反り腰など筋肉で言えば腹筋や背筋が固まっている緊張した姿勢をしています。
これをもう少し詳しくすると、考え事をすると交感神経が優位になります。それは頭で考え続けると興奮するからです。
交感神経が優位になると呼吸数や心拍数はあがり、呼吸や心臓の動きに関係する体幹の筋肉が活発に動き出します。
これが一時的なものなら問題ないんですが、考えることが癖になり、寝てる時以外常に何かを考えている方は、常に交感神経が優位な状態になります。
そうなってくると呼吸や心臓の動きに関係する体幹の筋肉には、かなりの負担がかかるため、最終的には疲労困憊になりガチガチに固まってしまいます。
この状態になると呼吸は浅くなり、さらに体幹の筋肉がガチガチになっているため、猫背や反り腰などの緊張した姿勢をとるようになります。
呼吸法で整える
心と呼吸と姿勢は影響し合っているので、どれか1つが悪くなり、その力が強いと他の2つも悪くなります。
ですが逆にどれか1つでも良い状態をキープできれば他の2つも良い状態にすることができます。
そこで本日は呼吸を整える方法をご紹介します。
胸式呼吸と腹式呼吸
「3つの呼吸法」にある胸式呼吸と腹式呼吸をおこないます。詳細は記事をご確認ください。ただし今回おこなっていただく呼吸は「3つの呼吸法」に書いてないこ2つのポイントがあります。
①膨らましづらい方向を特に意識して膨らます
例えば胸式呼吸の場合、胸を前後に広げて動きを確認します。ほとんどの場合後ろが膨らみづらいので、特に後ろを意識。これを腹式もおこないます。
膨らましづらい方向は普段機能していない部位です。膨らまない方向が機能して膨らむようになれば、その分深い呼吸ができるようになります。
深い呼吸ができるようになれば、心も落ち着き姿勢にも良い影響を与えます。
②青い玉をイメージする
「赤い部屋」と「青い部屋」という有名な実験があります。
被験者に目隠しをして赤い部屋と青い部屋に順番に入ってもらいます。赤い部屋は壁や床、机や椅子まで全てが赤。そして青い部屋は壁や床、机や椅子が全て青。
目隠しをしているので、どんな部屋に入ったかわからないはずなのに、なぜか赤い部屋に入ると心拍数・血圧・体温が上昇し興奮状態に。
そして青い部屋に入ると心拍数・血圧・体温が減少し落ち着くという結果になりました。
この実験からもわかるように、色の影響は視覚からだけではないということがわかります。見えなくても別の感覚で色の情報をキャッチし身体が反応するというわけです。
そのため、胸式呼吸も腹式呼吸も青い玉を膨らますイメージでおこないます。例えば、腹式呼吸ならヘソから指4本下と反対側にある腰を結んだちょうど中間地点あたり(臓器で言えば小腸があるあたり)に青い玉をイメージし、それを膨らます事により下腹部や腰が膨らむ。そんなイメージです。
※参考書籍:上丹田 中丹田 下丹田
最後に
普段何気なくおこなっている呼吸ですが、意識してやってみると意外とできない事に気がつくと思います。
できない事を1つでも減らして、普段から深い呼吸ができるように訓練しておきましょう。
それができるようになると自ずと心も姿勢も変わってきます。