猫背や反り腰をなおしたい!
スポーツのパフォーマンスを上げたい!
という方は体幹を安定させるために体幹トレーニングをすると思います。
僕の職場がスポーツクラブという事もあり、体幹トレーニングをやっている方を多く見ますし、パーソナルトレーナーなので体幹トレーニングの指導もおこないます。
その中でよく思うのは、体幹に力を入れすぎてる人多くない?って事。
僕も昔はそうでした。ガチガチに固める体幹トレーニングをしていました。「固めて鍛えて筋肉がつけば腹筋が割れて、ブレない体幹が手に入れられる!」と本気で思っていました。
でも実際はその逆。固めれば固めるほどブレる体幹になってしまいます。
目次
剛構造と柔構造
なぜ体幹を固めるとブレてしまうのか?その理由を建物を例にとって説明します。
耐震構造の考え方の1つに、建物の剛構造と柔構造のというものがあります。
剛構造
地震が起きても建物自体は変形せず、建物全体が揺れる。建物の高さを高くするほど上層部の揺れ は激しくなり、揺れる力によって建物が折れる可能性がある。
柔構造
地震が起きても建物自体が柔らかくたわみ、下の階から上の階へと順に揺れる。 たわみが地震の揺れを吸収するので骨組みにかかる負担が少なく、建物が折れにくい。
引用元:「建築のすべてがわかる本」 藤谷陽悦 他著より
と、このような特徴があり、剛構造になると衝撃を吸収できないため、倒壊の危険性が高まり、柔構造だと衝撃を吸収できるため、倒壊の危険性が低くなります。
この考え方は人間の身体にも当てはまることです。
身体を固めるということは剛構造型の身体にしていることになります。剛構造になれば衝撃を吸収できないため、
サッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツであればすぐに倒されてしまいますし、
走る・泳ぐなどでも身体がブレてしまいます。
日常であればフラフラ横に揺れながら歩いてしまったり、
ちょっとした段差に足を引っ掛けただけで転んでしまうとか。
そして固いもの、例えばガラスなんかはすぐに割れてしまいますよね?人間の身体も同じで、固まると壊れやすくなるため、すぐにケガや関節痛などを引き起こしてしまいます。
これではパフォーマンスは低下する一方ですね。
なので、これを解決するには固い剛構造ではなく、衝撃を吸収できる、柔らかい力の抜けた柔構造型の身体になる事が必要です。
ブレない体幹を手に入れるには柔構造型の身体になる
剛構造型の身体の人は、表面上の筋肉であるアウターマッスルと身体の中にあるインナーマッスルのバランスが悪いです。
アウターマッスルは物を持つ・走る・跳ぶなど大きな力を発揮するときに使われ、インナーマッスルは関節を安定させ滑らかな動きを作り出します。
通常、この2種類の筋肉は協調しながら働くため、
例えば10㎏の重い荷物(お米とか)を運ぶ時は、インナーマッスルが働く事で関節を安定させ、アウターマッスルが働く事で荷物を持つことができるため、関節を痛めることなく重い荷物を運ぶことができます。
ですが、剛構造型の身体の人はインナーマッスルがほとんど働かないため、固まって止まっています。そしてインナーマッスルが働かない分、アウターマッスルは余計に仕事をしなければならないため、疲労して固まってしまいます。その結果全身ガチガチの状態になってしまうのです。
これを解決するにはインナーマッスルの働きを高め、アウターマッスルとのバランスを取ることが必要です。このバランスが取れれば、インナーマッスルもアウターマッスルも固まることなく程よく働くため、柔構造型の身体にすることができます。
ではどうやったらそのような身体にする事ができるのか。
その第一歩はこの4つのポイントを意識する事が大事ですね!
インナーマッスルの働きを高めるポイント
インナーマッスルは全身にあるため、最終的には全身のインナーマッスルをきちんと働かせて動けるようになるのが理想ですが、いきなりそれは難しいですよね。
なのでまず初めは体幹にあるこの4つのポイント。脇・みぞおち・背中・股関節を意識できるようになると良いです。
脇の意識
脇には肩甲骨から肋骨に付着する前鋸筋があります。
前鋸筋は脇腹の外腹斜筋と、反対側の内腹斜筋と繋がりがあり、内腹斜筋はインナーマッスルの腹横筋と繋がっています。
そのため前鋸筋が働くと、繋がりのある腹横筋も働き、体幹を安定させることができるのです。
これは動画があるので、そちらで確認できます。
1回目に押されるのが前鋸筋が働いてない状態。2回目に押されるのが前鋸筋が働いてる状態。
2回目の方が明らかに体幹が安定しているのがわかります。
みぞおち/背中と股関節の意識
みぞおち・背中・股関節にはある共通の筋肉が存在します。
それは大腰筋です。
大腰筋はみぞおちの反対側にある背骨から股関節の下にある大腿骨の内側に付着している股関節のインナーマッスル。そして体幹のインナーマッスルです。
大腰筋は「達人の筋肉」と呼ばれるほど素晴らしい特徴を持った筋肉で、その特徴の1つに、その他の体幹インナーマッスルを働かせるための起点となるといったものがあります。
この働かせるインナーマッスルとは横隔膜・腹横筋・骨盤底筋群です。
横隔膜との繋がり
横隔膜は大腰筋と同じ胸椎12番に付着しているため、直接繋がり一緒に働きます。
腹横筋との繋がり
腹横筋は肋骨の裏側で横隔膜と繋がっています。そのため大腰筋が働くと、横隔膜を介して腹横筋も働きます。
骨盤底筋との繋がり
大腰筋も横隔膜も腹横筋も骨盤底筋とは直接繋がっていません。ですが内臓を介して横隔膜と連動するため、大腰筋とは間接的に繋がっています。
このような繋がりがあるため、みぞおちと股関節を意識できると、大腰筋を介して複数のインナーマッスルが働き、体幹の安定性を高める事ができるのです。
脇・みぞおち・股関節の意識を高めるワーク
ではこの3つのポイントを意識できるように、以下のワークを行なっていきましょう!
脇の意識を高めるワーク
- 脇の下を摩擦で熱くなるまでさする。
- さすったら、そのまま脇の下を触り、腕を前後に各5回ずつ回す。
※この動画の前半で紹介してるのが脇のワークです。
みぞおち/背中の意識を高めるワーク
- へそから指4本上のみぞおちと、反対側の背骨を触る。
- その背骨を、丸めたり起こしたり・横に倒したり・捻ったりして、各3〜5回ずつ動かしていく。
股関節の意識を高めるワーク
- 足を腰幅に開き、つま先を前に向ける。
- 股関節(恥骨の横)を触り、膝を軽く緩め、股関節を曲げていく。
- きちんと曲がっていると、裏もものお尻よりの部分が伸びるので、それを感じ取る。
- お尻のほっぺと裏ももの境目(坐骨)を触り、そこから身体を起こす。
- これを10回繰り返す。
4つのポイントを意識した体幹トレーニング
脇・みぞおち/背中・股関節への刺激に慣れてきたら、これらの部位を繋げて意識できるように、体幹トレーニングの中で最もポピュラーな種目である「プランク」を試してみましょう。
- 肩の下に手首を置き、頭から足先を一直線にする。
- この時、脇を締めて、みぞおちを丸め、股関節をみぞおちに近ずける。
- この状態で30秒〜60秒キープしましょう。
普段使いできるようになるには継続が大事
何となくわかってる。もしくは感じてる人もいると思いますが、
この4つのポイントを日常からスポーツまで使って、インナーマッスルとアウターマッスルを協調させる事は結構難しいです。
なので、そう簡単に柔構造型の身体にはなれないと思います。
ですが何事も積み重ねが大事なので、まず第一歩として今回紹介したワークをできるだけ毎日続けてください。(プランクはできる人は週2−3回でいいです)
それだけで全然違ってきますからね。
例えば、脇のワーク後は肩の動きがスムーズになるため、腕を回すのが楽になりますし、
みぞおち/背中・股関節のワーク後は、背骨や股関節の動きがスムーズになるため、前屈や後屈。足上げなどがやりやすくなります。
なので続けていけば、普段の動きがだいぶ変わってくるのでコツコツと続けてくださいねー!