スポーツの世界では「体幹の力を腕や脚に伝える」と言われることがあります。これを具体的にすると「背骨から腕や脚に力を伝える」ということになります。言い方を変えれば、「末端部の力だけで処理をするな」とも言えますね。
目次
なぜ末端部の力だけで処理してはいけないのか?
理由1:テコの原理
末端部で力発揮をし続ければ、その周辺の筋肉が発達します。末端部が発達すれば、自ずと末端部は重たくなるので、この状態ではテコの原理がかかり腕や脚が動かしづらくなります。
例えば5㎏のもの。ダンベルでも米袋でもいいですが、これを手に持っていたら腕は動かしづらいですよね?まぁ例えが極端ですが、末端部が重くなると常にダンベルや米袋を持っているような感じになります。この状態でゴルフをやったら、一発で手首や肘を痛めますよね。
理由2:関節の動員数
例えば、サッカーでシュートを打つ時を想像してください。シュートの時にかかる負荷を100として、膝でシュートを打ったら、使われる関節は膝とその下にある足首の2つのみなので、負荷を均等に分けたとしても膝50:足首50になります。
では背骨から末端に力を伝えてシュートを打った場合はどうでしょうか。この場合も負荷を100として、背骨から股関節、膝、足首と4つの関節を使うことになるので、負荷を均等に分けて背骨25:股関節25:膝25:足首25になります。
明らかに後者の方が1つの関節にかかる負荷は軽いですよね。つまり、末端部で力発揮をすると、動員する関節の数が少なくなるため、その分負荷が1つの関節に集中して痛めやすくなるということです。
背骨と腕や脚の関係
背骨と腕や脚は筋肉を介して繋がっています。
腕は上腕骨や肩甲骨から僧帽筋(そうぼうきん)・菱形筋(りょうけいきん)・広背筋(こうはいきん)などの筋肉を介して背骨と繋がっています。そして脚は大腿骨から大腰筋(だいようきん)を介して背骨と繋がっています。
画像を見ていただけるとわかると思いますが、腕や脚を動かす筋肉は全ての背骨に付着しています。つまり背骨1椎でも動きが悪いと、その背骨と関係する腕や脚の動きは悪くなるということです。
背骨を柔らかく動かす
固まりやすい背骨をゆるめる
背骨の中でも特に固まりやすいのが、
- 腰骨のラインの背骨
- みぞおち(へその指4本上)の反対側の背骨
- 胸の真ん中の反対側(肩甲骨の下のライン)の背骨
- 首の根元の出っ張ってる背骨
です。
これらをゆるめることで、他の背骨にも良い影響をあたえ、背骨全体を柔らかくすることができます。
ワークの方法は、4ヶ所の背骨を触りながら、そこを前後・左右・回旋と動かしてゆるめていきます。
背骨全体を動かす
- 肩の下に手首、股関節の下に膝を置き、四つん這いになる。
- その状態で背骨を丸めたり起こしたりと前後に動かす。
- それに慣れてきたら背骨をCの字にするように横にも動かす。
背骨から腕や脚に力を伝える
- 脚を肩幅の2倍に広げてつま先はハの字にする。
- 背骨を真っ直ぐ立てた状態で左右に回旋させて、腕や脚はその動きに合わせてしならせる。
最後に
背骨を触ったり意識したりすることは普段ほとんどありません。ですが、毎日毎日使っているので、機能しなくなると必ずどこかに不具合がでます。
そうならないためにも今のうちに背骨の柔軟性を高めていって、ケガの予防、さらにはそこからパフォーマンスアップに繋げてください。