「膝が痛い。」「今は大丈夫だけどすぐに膝を痛めてしまう。」
このような悩みをお持ちの方は、膝が痛まないように膝に力を入れたり、痛めやすい動きはゆっくりするか、何かに捕まって負担を軽くするなど、あの手この手を使って回避しようとします。
でもそういった事をしてもその場しのぎにしかならず、根本的には何も解決してないので、ふとした瞬間にまたすぐに痛めてしまいます。
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股関節を使えば膝の負担が軽くなる
こういった状態を1日でも早く改善させるのに必要なのは膝を使わない事です。といっても寝ているわけではありません。膝を痛めやすい方は膝を主導に身体を動かす癖がついてるので、その癖を少しでも変えられるよう股関節主導で身体を動かすし、膝はサブで動かす感覚を身につけてほしいということです。
どの関節もそうだけど、痛むと言うことは、そこに負荷が集中している可能性が高い。だからいくら治療しても、負荷を分散させることができなければ、またすぐに痛めてしまう。
腰の場合は胸椎や股関節が動けば、負荷を分散させることができ、腰痛が改善される。今日は2人もそれで良くなった。
— 柴 雅仁@治療家パーソナルトレーナー (@PT_shiba) May 10, 2018
なぜ股関節主導なのか?
筋肉の視点
筋肉は大きく2種類に分けられます。インナーマッスルとアウターマッスルです。インナーマッスルは身体の奥深くにあり、関節の動きをスムーズにし、安定させる機能があります。アウターマッスルは身体の表面にあり、大きな力を出す時に機能します。股関節を動かす時に機能する大腰筋(だいようきん)はインナーマッスルで、股関節の動き以外に、腰椎(腰の背骨)を安定させる機能もあります。
そして、大腰筋を機能させることにより、連鎖してその他の体幹のインナーマッスルや、アウターマッスルではあるけど大腰筋ととても関係の深いハムストリングス(裏もも)・内転筋(内もも)などの下半身の筋肉も機能させることができるため、大腰筋が機能するだけで体幹から下半身の動きや安定性を高めることができます。
ですが、膝関節を主導にすると大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がメインに機能し、その連鎖でスネの前脛骨筋(ぜんけいこつきん)や割れる腹筋の腹直筋(ふくちょくきん)、首の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)など、アウターマッスルが機能します。そのため膝を滑らかに動かしたり、安定させることができず、すぐに痛めてしまいます。
骨の視点
膝関節は屈曲伸展(前後の動き)しかできません。
ですが股関節は屈曲伸展以外にも、内転外転(横の動き)・内旋外旋(回転の動き)とあらゆる方向に動かすことができます。
そのため、股関節主導で動くことができれば、人とぶつかりそうになった時にとっさに横に移動するとか、急な方向転換をする時に回転するとか、様々な動きにスムーズに対処することができます。
ですが、前後にしか動かない膝を主導にしていると、それができないのに、人を避けなければならない状況になったときに、無理矢理膝を折るような使い方をして横移動をしようとします。これは膝にかなりの負担をかけることになりますよね。
股関節主導の動きを身につけるワーク
このように、筋肉と骨の視点から考えても股関節主導で動いた方が良いのは明らかです。ただ、今まで膝主導で動いてた人がいきなり股関節主導に動かそうと思っても簡単にはできません。それは膝に対する意識が強すぎて、股関節を動かす感覚が鈍くなっているからです。なので、まずは股関節の基本的な動きを覚えるところからはじめましょう。
体幹のクロスポイント
体幹にはみぞおち/背中、股関節/お尻のクロスポイントがあります。ここを刺激することにより、股関節の動きを作る大腰筋と、関係の深いハムストリングスや内転筋に刺激を入れることができます。
特に股関節/お尻のクロスポイントは、股関節を前後に動かす感覚を養うことができます。詳細は下記の記事をご確認ください。
LINE@登録者は限定記事と合わせてご確認ください。股関節回し
みぞおちと股関節のクロスポイントを触りながら、股関節の内回しと外回しをおこないます。この種目で股関節を回旋させる感覚を養います。
足を閉じながら内転筋・ハムストリングス叩き
この種目で大腰筋から内転筋・ハムストリングスの意識をさらに高めることができ、さらに横に動かす感覚も養うことができます。
- 足を肩幅の2倍に広げ、つま先をハの字にする。
- 股関節を引いてお尻を下に落とした状態で、内ももと裏ももを叩く。この時、膝に力が入らないように注意する。
- つま先を前に向け、同じように叩く。これを足を完全に閉じるまでおこなう。
最後に
まずこれらの種目で、股関節を動かす感覚を覚えていきます。それができたらアシモウォークで股関節主導で歩く感覚や
下記の動画(名前がまだありません)のように左右に股関節を抜く感覚を覚えていくと、股関節主導の動きを日常動作に落とし込むことができます。
ワークをコツコツと実践して、膝を痛めない身体を作っていってください。