腰骨に付着する腰方形筋。
この筋肉が固まるとインナーマッスルの機能を低下させ腰痛を引き起こします。
腰方形筋と腰痛にどのような関係があるのか。解説していきましょう。
目次
腰方形筋の基礎解剖学
起始停止
起始停止とは筋肉が付着している場所のことを言います。
腰方形筋で言えば、起始は腸骨、停止は第1〜4腰椎と第12肋骨に付着しています。
主な働き
主な働きは背骨の屈曲と第12肋骨の下制、骨盤の挙上です。
程よい緊張感で腰方形筋が機能すれば、腰周りを安定させるため、腰痛の予防になります。
ですが、姿勢や動かし方の癖など、何かしらが影響して腰方形筋が固まると、2つの理由から腰痛に繋がる恐れがあります。
腰方形筋が固まると腰痛に繋がる
理由①:神経支配の繋がり
腰方形筋の神経支配は腰椎1〜3番になります。ここは腸腰筋も支配している神経領域です。
腰方形筋が緊張して固まると、腰方形筋の神経も興奮して、それが脊髄に伝わります。
するとその興奮は同じ神経領域の筋肉にも伝わるため、腰方形筋の緊張は神経を介して腸腰筋にも伝わり、腸腰筋も緊張して固まってしまいます。
腸腰筋は腰椎と腸骨から大腿骨の内側に付着しているため、腸腰筋が固まると腰椎を前に引っ張ってしまい、その結果腰を反って腰に負担をかけてしまいます。
理由②:骨盤底筋群との関係
腰方形筋は腸骨の上部に付着しているため、腸骨の動きに関わってきます。
腰方形筋が緊張して固まると、腸骨は挙上・外転するため、腸骨下部は開くようにストレスが加わります。
すると、それに合わせて腸骨の下にある坐骨が外に開くため、骨盤底筋群が伸長され、適正な緊張が保持できなくなります。
骨盤底筋群は体幹のインナーマッスルの一部で、「神経支配の繋がり」でもご紹介した腸腰筋や、腹横筋・横隔膜・多裂筋などのその他の体幹のインナーマッスルと繋がりがあります。
そのため、骨盤底筋群の機能が低下すると、その他の体幹のインナーマッスルの機能も低下し、腰周りが不安定になります。
腰方形筋をゆるめるワーク
機能低下している腸腰筋や骨盤底筋群など体幹のインナーマッスルの機能を取り戻すことで、腰方形筋をゆるめることができます。
以下でご紹介するワークで、体幹のインナーマッスルの機能を取り戻しましょう!
クロスポイント
「クロスポイント」にある股関節/お尻・みぞおち/背中・頭と骨盤底筋をおこないます。
- 股関節/お尻のクロスポイントで骨盤底筋群と腸腰筋を機能させます。
- みぞおち/背中のクロスポイントで腸腰筋と横隔膜を機能させます。
- 頭と骨盤底筋のクロスポイントで骨盤底筋群・腹横筋・横隔膜を機能させます。
オープンロータス
この種目で体幹のインナーマッスル全てを繋げて機能させます。
- 足を肩幅に開き、膝の力を抜き、つま先をハの字に開く。
- 仙骨を地面に対して垂直に立て、みぞおちをゆるめたまま股関節に乗り、胸の前で合掌する。(インナーマッスル優位の姿勢)
- そのまま仙骨を地面に突き刺すようにしゃがむ。慣れてきたらこれを脱力しておこなう。(骨盤底筋群が緩む)
- 股関節を使い、坐骨間を閉めるイメージで立ち上がる。(骨盤底筋群に力を入れる)
まとめ
- 腰方形筋と腸腰筋は神経を介して繋がりがあるため、腰方形筋が固まると腸腰筋も固まる。
- 腰方形筋が固まると坐骨が開き、骨盤底筋群が伸長するため、程よい緊張感を保持できなくなる。
- 腸腰筋や骨盤底筋群の機能を取り戻すことで、腰方形筋が緩んで、腰痛の緩和に繋がる。
最後に
腰方形筋が固くて腰痛になっている方は意外と多いです。
腰痛がなかなか改善されない方は、ぜひご紹介したワークを試してみてください。