「歩く時は踵から足をつきましょう!」なんて話をよく耳にすると思います。
確かに間違いではありません。踵から地面につきます。
ですが、それを意識的にやってしまうと、膝を痛めるリスクが高くなることを、皆さんご存知でしたでしょうか?
本日は踵の意識と膝痛の関係についてお話します。
目次
歩行のメカニズム
歩き始めは踵から足が着きます。この時、床からの反発力(床反力)が働き、その力が踵から膝、股関節と伝わります。
伝わった床反力が重力に勝れば推進力が生まれるため、踵から足裏全体、つま先と順番に地面に着き、重心が前に移動します。
この連続動作で歩行が成立します。
踵を意識すると膝に負担をかける
踵から足をつくということは、つま先を上に挙げることになります。
これを意識的におこなうと、スネの表にある前脛骨筋に力が入ります。
前脛骨筋はももにある大腿四頭筋と繋がりがあり、この筋肉が固まると膝に大きな負担をかけます。
大腿四頭筋が膝に負担をかける理由①
1つ目の理由は「大腿四頭筋はブレーキ筋」だからです。
大腿四頭筋は膝を伸ばす時に機能するため、歩行で言えば下記画像のようにブレーキの役割を果たします。
そして、大腿四頭筋とは逆にアクセルの役割を果たす筋肉もあります。
それは裏もものハムストリングスです。 ハムストリングスのアクセルの機能については下記の記事を参考にしてください。
膝に負担をかけないで歩ける人は、アクセル筋である裏もものハムストリングスを使って前に進みます。これであればスムーズに歩けますよね。
ですが、膝に負担をかけて歩く人は、ブレーキ筋の大腿四頭筋を使いながら、アクセル筋のハムストリングスを使って前に進みます。
これだと、無駄にブレーキをかけながら歩くことになるため、膝に負担をかけることになります。
大腿四頭筋が膝に負担をかける理由②
もう1つの理由は、「膝が捻じれる」からです。 大腿四頭筋は外ももの腸脛靭帯と裏ももの外側にある外側ハムストリングスと繋がりがあります。
腸脛靭帯は大腿骨を内側に回転(内旋)させる機能があり、外側ハムストリングスはスネを外側に回転(外旋)させる機能があるため、この2つの筋肉が固まると下記画像のような捻じれが膝に起きます。
足を一歩前に出すごとにこの捻じれが起こると、膝には大きな負担がかかります。
膝に負担をかけないように歩くには?
1つは踵から足をつこうと意識しないことです。これをやめるだけで大分違います。
そして、ここからさらに良くするためには前脛骨筋・大腿四頭筋・腸脛靭帯・外側ハムストリングスの機能を抑える筋肉の機能を高めることです。
その筋肉とは後脛骨筋・膝窩筋・内側ハムストリングスです。
後脛骨筋は前脛骨筋が過度に働きすぎないように抑えることができます。
ハムストリングスは大腿四頭筋が過度に働きすぎないように抑えることができますし、その中でも内側ハムストリングス、そして膝窩筋は腸脛靭帯と外側ハムストリングスの働きも抑えることができます。
膝の負担を軽くするワーク
股関節/みぞおち、下肢のクロスポイント
クロスポイントとはインナーマッスルを機能させるツボみたいなもの。
股関節/みぞおちと、下肢にある4つのクロスポイントを刺激することで、後脛骨筋・膝窩筋・ハムストリングスの機能を高めることができます。
詳細な刺激方法はLINE@登録者限定動画をご確認ください。股関節/お尻のクロスポイント(歩行改善ver)
「股関節/みぞおち、下肢のクロスポイント」で刺激した筋肉を繋げて機能させます。
- 足裏のクロスポイントをくぼませるように、足裏を巻き込み外体重になる
- 膝の力を抜く
- 股関節のクロスポイントを触りお尻を引く
- 脚の内側から、ハムストリングス(特に内側)をさする
- お尻のクロスポイントを触り立ち上がる
- これを10回おこなう
片足スクワット
「股関節/みぞおち、下肢のクロスポイント」で刺激した筋肉を、より歩行動作に近い形で使えるように練習します。
- みぞおちの力を抜きながら、前足の股関節/お尻のクロスポイントを触る。
- 膝の力を抜きながら(大腿四頭筋の力を抜きながら)股関節を曲げてしゃがむ。この時ハムストリングスを意識する。
- 膝が前に突っ込んだり、内に入ったりしないように股関節を伸ばし、坐骨を締めながら立ち上がる。
まとめ
- 踵から足を着こうとすると前脛骨筋・大腿四頭筋が固まる。
- 大腿四頭筋が固まるとブレーキをかけ、繋がりのある腸脛靭帯・外側ハムストリングスも固まり膝を捻る。
- 後脛骨筋・膝窩筋・内側ハムストリングスを機能させれば、膝の負担を軽くすることができる。
最後に
踵から足を着く意識なんてしなくても、勝手にそうなります。
意識することで無駄な力を入れて膝痛のリスクを高めるだけなので、意識している方は本日からやめることをお勧めします。
その変わりに、ご紹介したワークをおこない、より負担のない歩きを身体に染み込ませてください。