皆さんは腕の付け根はどこだと思いますか?
多分ほとんどの方が肩関節だと考えていると思いますが、実はそうではありません。
腕の付け根は鎖骨で、関節でいうと胸鎖関節です。
目次
腕と鎖骨の関係
腕を構成する骨は手・前腕・上腕の骨、そして肩甲骨と鎖骨です。一番根本にある鎖骨は胸の真ん中にある胸骨と繋がり、胸骨と鎖骨の関節を胸鎖関節と呼びます。
試しに鎖骨を上から押さえて腕を挙げてみてください。挙げづらくなるのがわかると思います。
このように腕と鎖骨は繋がっていて、胸鎖関節の動きは腕を動かす上でとても重要になります。
胸鎖関節は股関節ぐらい重要
脚の付け根である股関節はほとんどの方が大事だと考えていますが、腕の付け根である胸鎖関節に関してはそれほど深い注目はされていません。
ですが、胸鎖関節も股関節と同列とまでは言えませんが、その働きはかなり重要です。
まず先ほどお話したように、腕の動きに大きく関わっています。胸鎖関節が固いと腕の動きが悪くなるため、スポーツはもちろんのこと、日常生活にも支障が出ます。
そして詳しい筋肉は後述しますが、胸鎖関節を固める筋肉は身体の表面にあるアウターマッスルです。アウターマッスルが固まると、身体の動きも固くなり、ケガをしやすくなったり、身体がぶれやすくなるためバランス能力も低下します。
胸鎖関節の動きが良くなれば、これらも解消されるため、パフォーマンスをあげるために胸鎖関節はかなり重要になるというわけです。
胸鎖関節の動きはお腹で悪くなる
胸鎖関節の動きに大きく関わってくる筋肉が首の胸鎖乳突筋と、胸の大胸筋です。
この2つの筋肉は胸鎖関節に付着しているため、固まると胸鎖関節の動きを悪くします。
そしてこの2つの筋肉は、ある別の筋肉からの影響を受けます。
それはお腹にある腹直筋です。
腹直筋は胸鎖乳突筋や大胸筋と繋がりがあるため、姿勢や使い方の癖で腹直筋が固まると、胸鎖乳突筋や大胸筋もその影響を受け固まります。
胸鎖関節の動きをよくするポイントはみぞおちにある
以上の繋がりから、腹直筋をゆるめると胸鎖関節の動きが良くなるわけですが、腹直筋の中でも特にみぞおちをゆるめると胸鎖関節の動きが更に良くなります。
なぜならみぞおちの奥にはインナーマッスルの横隔膜や大腰筋があるからです。
この2つの筋肉は首のインナーマッスルである頭長筋・頚長筋と繋がりがあるため、機能が高まると頭長筋・頚長筋が首を支えてくれ、胸鎖乳突筋の固さが和らぎます。
インナーマッスルは近くにあるアウターマッスルが固まっていると機能が落ちるため、横隔膜や大腰筋を機能させるには、みぞおちを柔らかく保っておくことが必要です。
脇の機能を高めると更に効果的
腹直筋・大胸筋・胸鎖乳突筋が固まると猫背や巻き肩になり、肩がすくんでしまいます。
みぞおちで腹直筋をゆるめて、横隔膜や大腰筋の機能を高めることでこれも解消されますが、
脇にある前鋸筋の機能を高めると肩が下がるため、腹直筋・大胸筋・胸鎖乳突筋は更にゆるみ、より胸鎖関節の動きが良くなります。
胸鎖関節の動きをよくするワーク
腹直筋以外にも大胸筋や胸鎖乳突筋を直接ゆるめると更に効果的なので、そのほぐし方も含め、胸鎖関節の動きをよくするワークをご紹介します。
大胸筋をゆるめる
喉仏の下にあるくぼみの横あたりが胸鎖関節です。その近くにある大胸筋を手でほぐしていきましょう。
胸鎖乳突筋をゆるめる
首の横にあるコリコリした筋肉を指でつまみ、頭側から鎖骨側まで満遍なくほぐす。
みぞおちをゆるめる
みぞおちにある腹直筋をゆるめていきます。
- へその指4本上に両手の指を当てる。
- 息を吐きながら身体を前に倒し、指をみぞおちに押し当ててほぐす。
クロスポイント
「クロスポイント」とはインナーマッスルの機能を高めるツボみたいなもの。
横隔膜・大腰筋・頭長筋・頚長筋・前鋸筋の機能を高めるために、3つのクロスポイントワークをおこないます。
- 首のクロスポイントで首肩回りの筋肉をゆるめ、首を支える頭長筋・頚長筋を活性化させます。
- わきのクロスポイントで前鋸筋を活性化させ、肩を下げられるようにします。
- みぞおち/背中のクロスポイントで横隔膜・大腰筋を活性化させ、頭長筋・頚長筋が機能しやすい状態にします。
まとめ
- 腕の付け根は鎖骨で、関節でいうと胸鎖関節。
- 胸鎖関節は腕を動かす上でとても重要。
- 胸鎖乳突筋・大胸筋・腹直筋が固まると胸鎖関節の動きが悪くなる。
- 胸鎖関節の動きを良くするポイントはみぞおちにある。
- 脇にある前鋸筋は胸鎖乳突筋・大胸筋・腹直筋の機能を抑えるので、胸鎖関節を動かすうえで必要な筋肉。
最後に
胸鎖関節の動きを柔らかく保つ事で首・肩こりの予防改善や運動のパフォーマンスアップに繋がります。
あまり目立たないですが、かなり重要な関節なので、ご紹介したワークをぜひ試してみて下さい。