「あれ?靴のかかとが外側だけ(内側だけ)すり減ってる…」 なんて一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
立つ・しゃがむ・歩くなどの日常生活でしか使っていない靴のかかとがアンバランスにすり減るのは、姿勢や動きに何か癖がある証拠です。
そしてもし、膝・腰・肩・首などの関節に痛みがある人は、もしかしたらその癖から来ている可能性もあります。
そこで本日は、靴のかかとのすり減り方による姿勢や筋肉の使い方、動かし方の癖と、負担のかかる関節。そしてその改善方法についてお話します。
靴のかかとを修理に出す前に。買い換える前に、自分の身体を見直してみましょう。
目次
かかとの外側がすり減る人
姿勢とゆがみ
かかとの外側がすり減る方に多い姿勢は猫背です。
猫背になると背骨と骨盤が丸まります。専門用語を使うと骨盤後傾位です。
骨盤が丸々と股関節が外に回転し、膝が外を向く形になります。この形はいわゆるO脚やガニ股です。
O脚やガニ股はつま先が外を向くため、その状態で歩いたりすると、かかとの外側を地面に擦りやすい状態になります。
固まる筋肉
背骨と骨盤が丸々と腹直筋が使われます。腹筋運動をする時、似たような体勢になりますよね。
腹直筋は腹筋運動の時に使われる筋肉です。 このように、背骨と骨盤が丸々と腹直筋が固まるわけですが、この筋肉の固さは、繋がりのある首や下半身の筋肉にも伝わってしまいます。
その筋肉とは、首は胸鎖乳突筋。下半身は大腿四頭筋やスネの前脛骨筋です。
この中で特にかかとの外側のすり減りと関係が深いのが大腿四頭筋。
大腿四頭筋はその名の通り、4つの筋肉に分かれており、その中の1つの大腿直筋は、歩く時などに足を上げる機能があります。
ただ、足を上げる筋肉は他にもあり、体幹のインナーマッスルである大腰筋や腸骨筋もその筋肉です。
通常は足を上げる動作でメインに使われる筋肉は大腰筋、ついで腸骨筋になるんですが、かかとの外側がすり減ってしまう人は、3番手の大腿直筋をメインに使って足を上げようとします。
そうすると、大腿直筋で足は上がるものの、メインではないため、足が高く上がらず、かかとの外側が地面に当たってしまいます。
痛める関節
結論から言うと、首・肩・腰・股関節・膝・足首と主要な関節は全て痛める可能性があります。
首や肩
猫背になると頭が前に出るため、首や肩に負担をかけます。
すると、首肩こりにはじまり、酷くなると五十肩や頚椎ヘルニアなどの疾患に繋がります。
腰や股関節
猫背になると腰も丸まり、股関節も大腰筋が機能しないため負担をかけます。
すると、腰の張りや股関節の詰まりにはじまり、酷くなるとぎっくり腰や椎間板ヘルニア、変形性股関節症に繋がります。
膝や足首
O脚やガニ股になると膝。歩く時には足がきちんとした形で接地しないため足首より下に負担をかけます。
すると、膝・足首・母趾の軽い痛みにはじまり、酷くなると変形性膝関節症や外反母趾に繋がります。
かかとの内側がすり減る人
姿勢とゆがみ
かかとの内側がすり減る方に多い姿勢は反り腰です。
反り腰になると背骨と骨盤が反ります。専門用語を使うと骨盤前傾位です。
骨盤が前に傾くと股関節が内に回転し、膝が内を向く形になります。この形はいわゆるX脚や内股です。
X脚や内股はつま先が内を向くため、その状態で歩いたりすると、かかとの内側を地面に擦りやすい状態になります。
固まる筋肉
背骨と骨盤が反ると大腰筋や腸骨筋が固まります。
この2つの筋肉は、腰椎(腰の背骨)や骨盤から大腿骨の内側に付着しているインナーマッスルで、この2つの筋肉が固まると繋がりのある上半身と下半身の筋肉も固まります。
その筋肉とは、まず上半身だとそのまま体幹の中にある横隔膜から肺や心臓の筋肉を介して、首のインナーマッスルである頭長筋や頸長筋と繋がっているため、これらの筋肉が固まります。
そして下半身だと内ももの内転筋群から足裏のアーチをつくる後脛骨筋と長腓骨筋と繋がっているため、これらの筋肉も固まります。
この中で特にかかとの内側のすり減りと関係が深いのが大腰筋・腸骨筋・内転筋群です。
大腰筋と腸骨筋は「かかとの外側がすり減る人」の「使う筋肉」にも書きましたが、歩く時など足を上げる時には大腰筋がメインに機能すると、スムーズかつ高く足を上げることができます。
ですが、かかとの内側がすり減る人も大腰筋と腸骨筋が固まって機能が低下しているため、足を高く上げることができません そして内転筋群も固まっているため、過度に足を内側に閉じてしまいます。
この2つの要素が重なっているため、かかとの内側が地面にあたり、すり減ってしまいます。
痛める関節
かかとの内側がすり減る人も、主要な関節である首・肩・腰・股関節・膝・足首と全て痛める可能性があります。
首や肩
首のインナーマッスルである頭長筋・頸長筋が機能しないと、首は不安定になるため負担をかけます。
そして首に負担がかかると、アウターマッスルである僧帽筋や肩関節の三角筋に力が入るため、それが原因で首肩こりになり、酷くなると五十肩や頚椎ヘルニアなどの疾患に繋がります。
腰や股関節
反り腰になるので腰に負担をかけますし、股関節も大腰筋が機能しないため負担をかけます。
すると、腰の張りや股関節の詰まりにはじまり、酷くなるとぎっくり腰や椎間板ヘルニア、変形性股関節症に繋がります。
膝や足首
X脚や内股になると膝。歩く時には足がきちんとした形で接地しないため足首より下に負担をかけます。
すると、膝・足首・母趾の軽い痛みにはじまり、酷くなると変形性膝関節症や外反母趾に繋がります。
かかとの外側がすり減るのを改善する
固まる腹直筋や大腿四頭筋をゆるめ、股関節の大腰筋・腸骨筋やハムストリングス。足を閉じるために内転筋群の機能を高めます。
大腿四頭筋ストレッチ
※左大腿四頭筋ストレッチの手順
- 右足前、左足後ろで足を前後に開く。
- 左骨盤に手を当て、前にスライドさせる。これで大腿四頭筋の股関節付近を伸ばす。これで20秒キープ。
- そのから左膝を曲げて足首を持ち、大腿四頭筋全体を伸ばす。この時不安定になりやすいので、ふらつく場合は壁を触っておく。これで20秒キープ
腹直筋をゆるめる呼吸
- 椅子、もしくは床に座ったまま、へそから指4本上のみぞおちを触る。
- みぞおちを押してみて、痛さや固さをチェック。
- みぞおちを膨らますように5〜10回呼吸をする。
- 再度みぞおちをチェックして、痛さや固さが緩和してればそれで終了。変化がなければ、再度5〜10回呼吸をおこなう。
体幹のクロスポイント
クロスポイントはインナーマッスルを機能させるツボみたいなもの。 体幹にあるみぞおち/背中のクロスポイントで大腰筋。股関節/お尻のクロスポイントで大腰筋・腸骨筋・内転筋群・ハムストリングスの機能を高めていきます。
詳細な刺激方法はLINE@登録者限定動画をご確認ください。四股立ち → 足を閉じる
この種目でさらに内転筋群とハムストリングスの機能を高めます。
- 足を肩幅の2倍に広げ、つま先をハの字にする。
- みぞおちを軽く丸めて、骨盤を地面に対して垂直に立てる。
- その体勢をキープしたまま、股関節を引いてお尻を下に落とした状態で、内ももと裏ももを叩く。この時、膝に力が入らないように注意する。
- つま先を前に向け、同じように叩く。
- これを足を完全に閉じるまでおこなう。
詳細なやり方はLINE@登録者限定動画でご確認ください。
かかとの内側がすり減るのを改善する
固まっている大腰筋・腸骨筋・内転筋群をゆるめて、機能するように再度刺激を入れます。
大腰筋・腸骨筋ストレッチ
※右大腰筋・腸骨筋ストレッチの手順
- 左足前、右足後ろで右骨盤に手を当てる。
- 右の骨盤に手を当て、前にスライドさせる。
- この状態を20秒キープする。
体幹のクロスポイント
かかとの外側がすり減る人同様、体幹にあるみぞおち/背中のクロスポイントで大腰筋。股関節/お尻のクロスポイントで大腰筋・腸骨筋・内転筋群・ハムストリングスの機能を高めていきます。
詳細な刺激方法はLINE@登録者限定動画をご確認ください。フロッグストレッチ
大腰筋を使いながら内転筋群・ハムストリングスを伸ばしていきます。
- 四つん這いになり膝を外に開く。
- 肘をつき、下腹部を地面に近づける。
- お尻を後ろに引き、内転筋群やハムストリングスを伸ばす。
- これを5〜10往復おこなう。
四股立ち
「体幹のクロスポイント」で刺激した筋肉を「四股立ち」で繋げて使えるようにします。
- 足を肩幅の2倍に広げ、つま先を斜めに向ける。
- 骨盤立て、みぞおちを丸める。
- その状態のまま股関節を引いてお尻を下に落とし、内ももと裏ももを叩く。
詳細なやり方はLINE@登録者限定動画でご確認ください。
まとめ
- かかとの外側がすり減る人は、腹直筋や大腿四頭筋など身体の前面にある筋肉が固まり、大腰筋・腸骨筋や内転筋群・ハムストリングなどのインナーマッスルの機能が低下している。
- かかとの内側がすり減る人は、大腰筋・腸骨筋や内転筋群が機能低下した状態で固まるため、その機能を取り戻してあげる。
最後に
かかとがすり減るということは、身体の機能が低下している証拠です。
靴を修理したり、買い換えたりしても、身体は何も変わらないので、また同じことを繰り返してしまいます。
そうならないように、今回ご紹介したワークをおこない、身体の方もしっかり見直してあげましょう。