ランニングやジャンプなど膝の屈伸運動を繰り返すことによりおこる腸脛靭帯炎。
私も過去に2回ほどなってますが、あれはかなり痛いうえに、状態によっては完治するまでにかなり長引いてしまいます。
そんな腸脛靭帯炎を、私の場合はリハビリをして約1週間後にはランニングマシンで。2週間後には通常のロードランニングができるまでに回復しました。
このように早期に回復できたのは、腸脛靭帯炎のことをきちんと理解した上でリハビリをおこなったからです。
そこで本日は、腸脛靭帯炎の方が少しでも早く競技に復帰できるように、腸脛靭帯炎の原因と、私が実際に取り組んでいたリハビリ方法をお伝えしたいと思います。
お悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
腸脛靭帯について
腸脛靭帯炎のお話の前に、「そもそも腸脛靭帯とはどこに付いてて、どのような機能があるのか?」
という基礎的なところからお話したいと思います。
付着部
腸脛靭帯とは骨盤の横(腸骨)に付着する大腿筋膜張筋の延長線上にある靭帯のことで、スネの外側(脛骨の外側顆)に付着しています。
機能
靭帯は伸び縮みが乏しいため、大腿筋膜張筋の動きに合わせて機能します。
大腿筋膜張筋/腸脛靭帯の機能は以下の通りです。
- 股関節を曲げる(屈曲)
- 脚を外に開く(股関節の外転)
- 脚を内側に回転させる(股関節の内旋)
- スネを外側に回転させる(下腿の外旋)
腸脛靭帯炎について
腸脛靭帯炎とは?
冒頭でお伝えしたとおり、腸脛靭帯炎とはランニングやジャンプなど膝の屈伸運動を繰り返すことにより、大腿骨の外側にある骨の出っ張り(大腿骨外側上顆)との間に摩擦が起きる事によりおこる炎症のことを言います。
腸脛靭帯炎の原因
ランニングやジャンプ動作でなりやすいですが、この動作をやる全ての人が腸脛靭帯炎になるわけではありません。ならない人ももちろんいます。
では腸脛靭帯炎になる人とならない人の違いは何なのか?
違い①:膝が内に入る
大腿筋膜張筋/腸脛靭帯は脚の内回転(股関節の内旋)とスネの外回転(下腿の外旋)をする機能があります。
この動きを組み合わせると膝が内に入るので、ランニングやジャンプ時に膝が内に入りやすい人は腸脛靭帯炎になりやすいです。
違い②:膝が外を向く
大腿筋膜張筋/腸脛靭帯は脚を外に開く(股関節の外転)機能もあるため、違い①とは真逆の動きでも腸脛靭帯炎になりやすいです。
腸脛靭帯炎の症状
痛む部位はちょうど摩擦が起きる膝外側の上。
この部位が重症度によって痛み方が変わります。
- 軽度:運動後に痛む。我慢できる範囲の痛さ。
- 中程度:運動中も運動後も痛む。運動後は軽く足を引きづることもある。
- 重度:立ってても、歩いても痛む。足を引きずらないと歩けない。
ちなみに私が腸脛靭帯炎になった時は重度で、立ってるだけでも痛かったです。
そしてそれ以外にも腸脛靭帯のラインに圧痛があります。このラインはももの真ん中辺りにあり、コリコリしていて押すとかなり痛いです。
腸脛靭帯炎時に固まる筋肉
使いすぎにより固まる筋肉です。大腿筋膜張筋/腸脛靭帯はもちろん固まりますが、大腿筋膜張筋/腸脛靭帯に関係する筋肉が固まることにより腸脛靭帯炎を引き起こすケースもあります。
固まる筋肉①:広背筋〜反対側の大殿筋と中殿筋
背中の広背筋と反対側の大殿筋・中殿筋は、大腿筋膜張筋/腸脛靭帯と繋がりがあるため、この部位が固まるとその固さが大腿筋膜張筋/腸脛靭帯に伝わり、腸脛靭帯炎を引き起こすことがあります。
固まる筋肉②:腹直筋〜大腿四頭筋
腹直筋とももの大腿四頭筋は、大腿筋膜張筋/腸脛靭帯と繋がりがあるため、この部位も固まるとその固さが大腿筋膜張筋/腸脛靭帯に伝わり、腸脛靭帯炎を引き起こすことがあります。
腸脛靭帯炎時に機能させたい筋肉
上述したように腸脛靭帯炎になると固まる筋肉があります。ですが、固まる筋肉があるということは、その周辺には逆にゆるみすぎていて機能していない筋肉があるわけです。
固まっている筋肉をゆるめつつ、ゆるみすぎている筋肉を機能させることにより、筋肉のバランスが整い、腸脛靭帯炎の予防・改善に繋がります。
機能させたい筋肉:体幹のインナーマッスル〜内転筋群・ハムストリングス
固まる筋肉がある部位を見ていただくとわかると思いますが、腸脛靭帯炎に関係する筋肉は身体の前面と側面にあります。そのため、逆に身体の後面や内側にある筋肉は機能していません。
その筋肉が体幹のインナーマッスル〜内ももの内転筋群・裏もものハムストリングスです。
体幹のインナーマッスルの中でも横隔膜と大腰筋は内転筋群・ハムストリングスと深い関係にあるため、特に機能させたい筋肉になります。
腸脛靭帯炎を予防・改善する
この項目では自宅で出来るリハビリ運動についてお話します。
ただし、あまりにも痛む場合は整形外科や鍼灸院・整骨院での治療をお勧めしますので、医者や治療院の先生の指示に従いながらセルフケアワークをおこなってください。
固まってる筋肉をゆるめる
腹直筋と広背筋をゆるめる
- 仰向けに寝転がり、膝を立てる。
- へそから指4本上のみぞおちとその周辺を押して、痛みや固さがないか確かめる。
- 確認できたら、息を吸ってみぞおちと反対側の背中を膨らまし、吐いて元に戻す。
- これを10回繰り返す。
- 終わったら最初に押した部位を再度押してみて、痛みや固さに変化が出たから確認する。
- 緩和されてれば終了。まだ残っていたら再度10回呼吸をおこなう。
大腿四頭筋のストレッチ
※左側のストレッチの手順
- 右足前、左足後ろに開き、左の骨盤を押さえて、前にスライドさせる。
- この状態を20秒キープ。(大腿四頭筋の骨盤付近を伸ばす)
- その後、左膝を曲げて左手で左足首を持つ。この時、バランスを崩しやすいので、右手は壁などを触ってバランスをとる。
- この状態を20秒キープ。(大腿四頭筋を全体的に伸ばす)
大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋/腸脛靭帯のストレッチ
- 地面、もしくは椅子に座ったまま脚で四の字を組む。
- その状態で身体を前に倒し20秒キープ。
ゆるんでる筋肉の機能を高める
みぞおち/背中、股関節/お尻のクロスポイント
みぞおち/背中で横隔膜と大腰筋。股関節/お尻で大腰筋と内転筋群・ハムストリングスの機能を高めます。
詳細なやり方はLINE@登録者限定動画でご確認ください。割膝
横隔膜・大腰筋・内転筋群・ハムストリングスを、縦の動きで繋げて機能させます。
- 足を前後に開き、骨盤は前、後ろのつま先は斜め前に向ける。
- 前足の膝を軽く曲げ、みぞおち(へそから指4本上)の力を抜き、丸めていく。
その状態でハムストリングスを叩く。
四股立ち → 足を閉じる
横隔膜・大腰筋・内転筋群・ハムストリングスを、横の動きで繋げて機能させます。
- 足を肩幅の2倍に広げ、つま先をハの字にする。
- みぞおちを軽く丸めて、骨盤を地面に対して垂直に立てる。
- その体勢をキープしたまま、股関節を引いてお尻を下に落とした状態で、内ももと裏ももを叩く。この時、膝に力が入らないように注意する。
- つま先を前に向け、同じように叩く。
- これを足を完全に閉じるまでおこなう。
割膝と四股立ちの詳細なやり方は、LINE@登録者限定動画でご確認ください。
まとめ
- 腸脛靭帯炎とはランニングやジャンプなど膝の屈伸運動を繰り返すことにより起こる。
- ランニングやジャンプ動作をする人達の中でも、膝が内や外にブレたり、一部の筋肉しか機能してない人が腸脛靭帯炎になりやすい。
- 改善するには、治療しつつ、固まっている筋肉をゆるめ、ゆるんでいる筋肉を機能させて、筋肉のバランスを整えることが必要。
最後に
私の場合は2週間ほどで完治しましたが、人によってはその2〜3倍時間がかかることがあります。
腸脛靭帯炎が原因で、なかなか競技に復帰できないと焦ってしまうと思いますが、焦って無理すると完治するまでにかなり時間がかかってしまうので、絶対に無理は禁物です。
焦らずじっくり治していきましょう。
ただ、少しでも早く治したい!という方は、「ひざ痛対策マニュアル」を読むことをお勧めします。
この記事には、膝を痛めてしまう原因とその対策方法について、ブログには書いてない細かな内容まで記載してあります。
お悩みの方は、是非ひざ痛対策マニュアルを読んでみて下さい。