歩行時の左右のブレや、片足バランスを安定させる中殿筋。
その機能は、日常生活はもちろんのこと、スポーツのパフォーマンスにも大きな影響を与えます。
そんな重要な中殿筋ですが、実は固まりすぎると膝痛を引き起こす可能性があります。
中殿筋と膝痛にどのような関係があるのか。解説していきましょう。
目次
中殿筋の基礎解剖学
中殿筋の起止停止
起始停止とは筋肉が付着している場所のことを言います。
中殿筋の起始は腸骨の上あたりで、停止は股関節の外側の出っ張りの大転子に付着しています。
中殿筋の主な働き
主な働きは脚を外に開く動き(股関節の外転)。
そして中殿筋の前側の筋繊維は股関節を内側に捻り(内旋)、後側の筋繊維は股関節を外側に捻る(外旋)時に機能すると言われています。
中殿筋と膝痛の関係
O脚に繋がる
脚はもともと真っ直ぐではなく、スネの骨(脛骨)に対して、太ももの骨(大腿骨)が斜め外側に傾いて付いています。
その角度は、170°〜175°です。
これに対して、中殿筋が過剰に働くと大腿骨が外に引っ張られ、脚が開いてしまいます。
これが酷くなるとO脚に繋がり、大腿骨と脛骨のラインが崩れてしまい、膝関節に大きな負担をかけてしまいます。
膝関節と繋がっている
中殿筋の隣には大腿筋膜張筋があります。
この大腿筋膜張筋は、大転子あたりから腸脛靭帯に移り、腸脛靭帯は膝関節の外側に付着しています。
そのため、中殿筋が固まると
中殿筋
↓
大腿筋膜張筋/腸脛靭帯
↓
膝関節
と繋がり、膝関節に影響を与えます。
ちなみに、このラインが固まることで引き起こされるのが、以前記事に書いた腸脛靭帯炎です。
これらを予防改善するには、中殿筋をゆるめることが効果的です。
ですが、中殿筋はお尻の外側にあるため、直接はとてもほぐしづらいです。
そのため、繋がりのあるわきの下をほぐすことで、間接的に中殿筋をゆるめていきます。
中殿筋をゆるめるには、わきの下をほぐすのが効果的
中殿筋はお尻のほっぺの大殿筋と繋がりがあり、大殿筋は反対側にある背中の広背筋と繋がっています。
広背筋は、背骨から、わきの下を通って腕に付着しているため、わきの下と中殿筋は間接的に繋がっているのです。
そのため、わきの下をほぐすことで、中殿筋をゆるめることができます。
ですが、ただゆるめるだけだと、固さがすぐに戻ってしまいます。
それを防ぐためには、内転筋群の機能を高めることが必要です。
内転筋群を鍛えると、中殿筋を柔らかくしたままキープできる
中殿筋が固まる理由は、負担を中殿筋にかけすぎることが原因です。これを解決するには、負担を他の筋肉に分散する必要があります。
それが太ももの内側にある内転筋群です。
中殿筋は脚を外に開く働きがありますが、内転筋群は脚を閉じる働きがあります。
そのため、内転筋群が機能すると中殿筋とのバランスがとれるため、O脚などの変形を防ぎ、負担を分散することができます。
中殿筋をゆるめるワーク
Before
ワークを始める前に、今の中殿筋の状態を確認します。
その確認方法は、片足立ちです。
中殿筋と内転筋群のバランスが取れていれば、片足立ちになっても、ふらつきは小さいです。
ですが、中殿筋が固まっていると、内転筋群とのバランスが崩れているため、片足立ちになると足がふらついてしまいます。
片足立ちになり、今のふらつき方や左右差などを確認していきましょう。
わきの下をほぐす
- わきのくぼみに親指を当てて、後ろ側に4本の指を当ててわきを摘む。
- そのまま腕をおろし、前後に動かしてわきをほぐす。
四股立ち → 足を閉じる
- 足を肩幅の2倍に広げ、つま先をハの字にする。
- みぞおちを軽く丸めて、骨盤を地面に対して垂直に立てる。
- その体勢をキープしたまま、股関節を引いてお尻を下に落とした状態で、内ももを叩く。この時、膝に力が入らないように注意する。
- つま先を前に向け、同じように叩く。
- これを足を完全に閉じるまでおこなう。
詳細なやり方はLINE@登録者限定動画でご確認ください。
After
では再度片足立ちをおこなってみてください。
いかがでしょうか?先程より片足立ちがやりやすくなったかと思います。
中殿筋と内転筋群のバランスが整うと、このように安定感がますため、膝痛の予防改善になります。
さらに運動のパフォーマンスアップにも繋がるので、お悩みの方は是非試してみてください。
まとめ
- 中殿筋が固まると大腿骨が開くため、O脚になりやすい。
- 中殿筋は腸脛靭帯を介して膝関節と繋がっているため、膝関節に影響を与える。
- わきの下にある広背筋をゆるめると、繋がりのある反対側の中殿筋をゆるめることができる。
- 内転筋群を鍛えると、中殿筋とのバランスがとれて、ゆるんだ中殿筋が固まりづらくなる。