膝に痛みを抱えて、整形外科や整骨院、鍼灸院などに治療をしに行くと、ほとんどの場合はまず局所を診てもらい治療に入ると思います。
もちろんそれが悪いとかではなくて、それで痛みが取れる場合は全然良いんです。ですが、局所を治療しても痛みが取れない場合があります。その場合、もしかしたら背骨が動いていないことが原因かもしれません。
背骨が動かなくなる原因
背骨は全部で24椎あり、頭部と骨盤部の間を含めると25の関節が存在します。通常であればこの関節は全て動かすことができるので、チーターや魚とまではいきませんが、それなりに波打つように滑らかに動かすことができます。
ですが、現代人は運動不足なうえに、PCやスマホなどの操作をする時間がかなり増えているため、じっと固めていることが多く、極端なことを言えば背骨が一本の棒のようになり、動くのは頭・骨盤と背骨の間の関節のみみたいな状態になっています。
このような状態になると、背骨と直接繋がっている肋骨も固まることになるため、体幹部はほとんど動かすことができず、背骨や肋骨に付着する筋肉全ての動きが悪くなります。そしてこれらの筋肉は全て膝の筋肉と連鎖するため、膝にも悪い影響を与えます。
背骨と膝の関係
まず背骨には表面上に付着するアウターマッスルと、内臓側に付着するインナーマッスルがあります。
アウターマッスルは脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)や広背筋(こうはいきん)と呼ばれる筋肉で、これらは裏もものハムストリングスや外ももの外側広筋(がいそくこうきん)と連鎖します。
インナーマッスルは大腰筋(だいようきん)と呼ばれる筋肉で、内ももの内転筋群(ないてんきんぐん)と連鎖します。
そして、肋骨には真ん中には割れる腹筋の腹直筋(ふくちょくきん)とわき腹の外腹斜筋(がいふくしゃきん)が付着しています。
腹直筋はももの表にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と連鎖し、外腹斜筋は反対側にある内腹斜筋(ないふくしゃきん)を介して腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)と連鎖します。
背骨が固まるだけで、これだけの筋肉に悪い影響を与えます。そしてこれらの筋肉をよく確認してみると、ももの表・裏・内・外と全方向にあるんです。つまり背骨や肋骨が固まり、そこに付着する筋肉が固まると大腿部全方向にある筋肉が固まるので、膝も背骨と同じ棒のような状態になってしまいます。これでは膝をすぐに痛めてしまいますし、背骨や肋骨が固ければ、いくら膝の治療をしても一向に良くなりません。改善するためには背骨の動きを作る必要があります。
背骨を動かして、膝の負担を軽くする
3つの呼吸法
まずはこの3つの呼吸法で背骨、肋骨周りにある筋肉をゆるめていきます。胸式は胸椎と肋骨、みぞおちは胸椎・肋骨と腰椎の間、腹式は腰椎です。詳細は下記の記事をご確認ください。
固まりやすい背骨を動かす
背骨の中でも特に固まりやすいのが、
- 腰骨のラインの背骨
- みぞおち(へその指4本上)の反対側の背骨
- 胸の真ん中の反対側(肩甲骨の下のライン)の背骨
- 首の根元の出っ張ってる背骨
です。
ここを動かすことで周りの筋肉がゆるんで、他の背骨にも良い影響をあたえ、背骨全体を柔らかくすることができます。
ワークの方法は、4ヶ所の背骨を触りながら、そこを前後・左右・回旋と動かしてゆるめていきます。
背骨全体を動かす
このワークをおこなう前に、背骨や肋骨の動きと関係の深いわき・股関節/お尻のクロスポイントを刺激します。この2つを先におこなうことにより、これからご紹介するメインのワークがやりやすくなるので、必ずおこなってください。
刺激が終わったら、肩の下に手首、股関節の下に膝を置き、四つん這いになります。
この状態で背骨を前後。慣れたら左右に動かしていきましょう。
最後に
今回ご紹介したワークをただやるだけだと、正直何が変わったのかよくわからないと思います。なので、ワークの前後にスクワットをしてみて(痛みのない範囲で)、動きや感覚にどのような変化があったか確認してみてください。そして他にも膝に関する記事はいくつか書いてるので、お時間がある時に「カテゴリー → 関節痛のセルフケア → 膝」で気になる記事があったら是非読んでみてください。