例えば、ダイエットやシェイプアップの一環としてドローイン(お腹をへこますエクササイズ)をするのは有りだと思いますが、
「スクワットやデッドリフトで腰を痛めないように」とか
「スポーツで体幹がブレないように」とかでドローインするのは全く意味ない気がするんですよね。
むしろ逆効果かなーと。
目次
ドローインとは?
ドローインをご存知ない方もいると思うので簡単に説明すると、
仰向けに寝転がりお腹を凹ますインナーマッスルトレーニングです。
これをやる事で、体幹のインナーマッスルである腹横筋をはじめ、骨盤底筋群や横隔膜などの筋肉を鍛えることができます。
なのでドローインをする事で、見た目で言えばお腹が凹んだり。その他腰痛の予防・緩和や、体幹を安定させる事ができると言われています
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っが!私はそうは思ってないんですね。お腹は凹むと思いますが、その他の腰痛の予防・緩和と体幹の安定はないかなーと。冒頭でも書いたようにむしろ逆効果になると思います。
ドローインは逆効果だと思う2つの理由
お腹を膨らませたり凹ましたり両方やるならまだ良いですが、最悪なのは凹ませたままキープするとかですね。
理由①:腰の筋肉が緊張し腰痛が悪化する
ドローインでお腹を凹ませたままにすると、腹横筋が過緊張状態になります。腹横筋は腰の脊柱起立筋と筋膜で繋がっているため、腹横筋が緊張すると脊柱起立筋も緊張して固めるのです。
腰痛の人は脊柱起立筋がすでに固い人が多いため、そこで更に腹横筋を固めてしまうと、より脊柱起立筋が固まってしまうため、腰痛が悪化する可能性があるのです。
理由②:体幹を固めると不安定に
ドローインで凹ませたままキープすると、なぜ体幹が不安定になりブレるのかというと、その答えは簡単。
「腰痛が悪化する」でも書いたように固めるからです!
、、、と言われてもピンとこないと思うので、耐震構造の考え方の1つに、建物の剛構造と柔構造のというものがあるので、それを例にして解説しますね。
まずは剛構造と柔構造の特徴から。
剛構造
地震が起きても建物自体は変形せず、建物全体が揺れる。建物の高さを高くするほど上層部の揺れは激しくなり、揺れる力によって建物が折れる可能性がある。
柔構造
地震が起きても建物自体が柔らかくたわみ、下の階から上の階へと順に揺れる。たわみが地震の揺れを吸収するので骨組みにかかる負担が少なく、建物が折れにくい。
引用元:「建築のすべてがわかる本」 藤谷陽悦 他著より
と、このような特徴があり、剛構造になると衝撃を吸収できないため、倒壊の危険性が高まり、柔構造だと衝撃を吸収できるため、倒壊の危険性が低くなります。
そしてこの考え方は人間の身体にも当てはまることです。
体幹を固めるということは剛構造型の体幹にしていることになります。剛構造になれば衝撃を吸収できないため、コンタクトスポーツであればすぐに倒されてしまいますし、日常であればちょっとした衝撃で転倒してしまいます。そしてそれが腰痛を引き起こす可能性もあるのです。
このようにドローイン、特に凹ませたままキープするようなトレーニングはその人のパフォーマンスは下げてしまいます。
なので、そうならないためにはドローインをやめておく事が必要なんですが、もう一つ大事な事があります。
それは動きながら体幹を安定させる事です。これができると柔構造型の体幹にする事ができます。
柔構造型の体幹
じっと固まって生活している人は少ないですよね。何かしらが原因で寝たきりになってない限り、ほとんどの人が毎日動いてます。
スポーツをやってる人であれば尚更です。
なので、いかに動きながら体幹を安定させられるか。柔構造型の建物のようにたわみながら衝撃を吸収できるかで、体幹の安定性が変わってくるのです。
そしてその動きながら安定させるためのポイントは、股関節・背骨・脇の3つにあります。
3つのポイントを抑えると柔構造型の体幹になる
股関節には大腰筋。
背骨には横隔膜や多裂筋。
脇には前鋸筋があり、この前鋸筋は脇腹を介して腹横筋と繋がる。
そして大腰筋・横隔膜・多裂筋・腹横筋は股の骨盤底筋群とも繋がる。
このように3つのポイントは体幹のインナーマッスルを使うスイッチのような場所なのです。
そしてこれらを様々な動きに合わせて使えれば、体幹のインナーマッスルを固める事なく、程よい緊張感で使えるため、衝撃を上手く吸収できる柔構造型の体幹にする事が出来ます。
柔構造型の体幹を作る
柔構造型の体幹になるために、股関節・背骨・脇を使えるように以下のワークをおこなっていきましょう。
クロスポイント
クロスポイントとは、インナーマッスルを活性化させるツボみたいなもの。
クロスポイントの詳細はこちら↓
https://selfcare-lab.com/crosspoint-more-detail
体幹にあるみぞおち/背中・股関節/お尻のクロスポイントを刺激して、大腰筋・横隔膜・多裂筋。
脇のクロスポイントを刺激して前鋸筋からの腹横筋の働きを高めていきます↓
背骨を前後左右に動かす
股関節・背中・脇のクロスポイントを意識しながら背骨を動かす事で、体幹のインナーマッスルを連動させて使う事ができます。
- 脇の下に手首、股関節の下に膝を置き、四つん這いになる。
- 脇と股関節に乗ったまま、みぞおちの反対側の背骨を丸めたり起こしたりを10回おこなう。
- その後みぞおちの反対側の背骨を左右にずらしながら、背骨全体でCの字と逆Cの字を作る。これも10回おこなう。
まとめ
ドローインのメリット・デメリット。そして何を目的としてるかで、ドローインをするのかしないのかが変わってきます。
この辺をきちんと理解しないでやると、記事に書いたように逆効果になってしまうので、今現在ドローインをやってる人。もしくはドローインの指導をしている人は、もう一度見直してみてください。
【本日の記事のまとめ】
- ドローインはダイエットやシェイプアップ目的ならまだ良いが、腰痛の予防緩和や体幹の安定性を高める目的なら逆効果になる可能性がある。
- ドローインをすると鍛えられる腹横筋は腰の脊柱起立筋と繋がっているため、腹横筋が固まると脊柱起立筋も固まり腰痛を引き起こす。
- ドローインをすると体幹を固めてしまうため剛構造型の体幹になってしまうため、衝撃を吸収できなくなり体幹が不安定になる。
- 腰痛の予防緩和、体幹の安定性を高めるなら柔構造型の体幹になる事が必要。