SNSやネットによく「走る時にお尻を使う」的なことが書いてあります。確かに嘘ではないので否定はしないですが、これだけを鵜呑みにして必要以上にお尻を意識した走りをする人が増えないかが心配です。
お尻を使って歩くやら走るやらをSNSやネットでよく見かけます。
間違えではないので否定はしませんが、お尻を意識した歩きや走りをすると股関節の可動域が狭まり、腰痛や膝痛になるリスクが高くなるので注意が必要です。
— 柴 雅仁@治療家パーソナルトレーナー (@PT_shiba) May 9, 2018
目次
お尻を使いすぎると膝や腰を痛めるリスクが高くなる
お尻を使うということは、つまりお尻の筋肉である大殿筋や中殿筋に意識を向けた走りをするということになります。
もちろんこれらの筋肉は走る時に使われますが、意識を向けすぎると膝や腰を痛めるリスクが高くなります。
その理由は、意識を向けすぎるとこの2つの筋肉はガチガチに固まり、その固さが繋がりのある膝や腰の筋肉と連動して一緒に固めてしまうからです。
お尻と膝・腰の関係
まず大殿筋・中殿筋と腰・膝の繋がりをみていきましょう。2つの筋肉は下記のように連動します。
広背筋(腰・背中)⇔大殿筋⇔大腿筋膜張筋/腸脛靭帯(膝)
中殿筋⇔大腿筋膜張筋/腸脛靭帯(膝)
このような繋がりがあるため、お尻を使い過ぎれば、膝で言えば大腿筋膜張筋/腸脛靭帯が固まります。
大腿筋膜張筋/腸脛靭帯で有名なのは、ランナーズニーと呼ばれる腸脛靭帯炎。
大殿筋も中殿筋も大腿筋膜張筋/腸脛靭帯とつながっているので、お尻を意識すればするほど腸脛靭帯炎になるリスクが高くなります。
そして、腰で言えば広背筋が固まります。こちらの詳細も以前書いたので下記の記事でご確認ください。どこを使えば膝や腰を痛めるリスクが下がるのか?
使うべき筋肉は内ももの内転筋群と裏もものハムストリングスです。
この2つの筋肉は体幹のインナーマッスルと連動するため、走る時の動きが安定し、膝や腰を痛めるリスクを下げることができます。
内もも・裏ももの筋肉と体幹のインナーマッスルとの関係
まず内転筋群は筋肉の膜で体幹のインナーマッスルである骨盤底筋群、大腰筋、横隔膜、腹横筋と繋がっています。
そしてハムストリングスは大腰筋と表裏関係にあります。
例えば、肘を曲げる時には力こぶの上腕二頭筋が縮んで、腕の裏にある上腕三頭筋はゆるんで伸びますよね?
そして肘を伸ばす時はその逆になります。つまりこの2つの筋肉は表裏関係にあるわけです。
大腰筋とハムストリングスもこれと同じで、脚を上げる時に大腰筋が縮んで、ハムストリングスはゆるんで伸びます。
逆に脚を下げて後ろに伸ばす時にはハムストリングスが縮んで大腰筋がゆるんで伸びます。
この2つの筋肉はこのような関係にあるため、直接は繋がっていないものの機能的には繋がりがあるわけです。
内ももと裏ももの意識を高める
ここで一つ覚えておいて欲しいことがあります。
それは、たしかに内転筋群やハムストリングスを機能させた方が、大殿筋や中殿筋を機能させるよりかは膝や腰を痛めるリスクは下がります。
ですが、内転筋群やハムストリングスも走ってる時に意識しすぎれば、力が入りガチガチに固まるので、それをやり続ければどこかのタイミングで必ず膝や腰を痛めることになります。
ここでお伝えする「意識を高める」とは、走る時以外に内転筋群やハムストリングスを刺激して、日常も走る時も無意識に使える状況にするという意味の「意識を高める」です。そのため、走る時は内転筋群やハムストリングスのことは一切忘れる。もしくはボンヤリ頭の片隅に置いとく程度にしておいてください。
クロスポイント
体幹のクロスポイントで内転筋群とハムストリングス、体幹のインナーマッスルを機能させます。詳細は下記の記事をご確認ください。
詳細な刺激方法はLINE@登録者限定動画をご確認ください。割膝
内転筋群・ハムストリングスと体幹のインナーマッスルを繋げて機能させます。
- 足は前後に開き、骨盤は前を向け、後ろ足は伸ばす。
- 前足の膝を軽く曲げ、みぞおち(へそから指4本上)の力を抜き、丸めていく。
- その状態で内転筋群とハムストリングスを叩く。
四股立ち→足を閉じる
内転筋群やハムストリングスを普段使いできるようにするには、割膝のような前後の動きだけではなく、左右の動きでも使えるようにしなければなりません。この種目で左右の動きにも対応できるようにしましょう。
- 足を肩幅の1.2倍に広げ、つま先をハの字にする。
- 股関節を引いてお尻を下に落とした状態で、内ももと裏ももを叩く。この時、膝に力が入らないように注意する。
- つま先を前に向け、同じように叩く。
- これを足を完全に閉じるまでおこなう。
割膝と四股立ちの詳細なやり方はLINE@登録者限定動画でご確認ください。
まとめ
- 走る時にお尻を使うと、繋がりのある腰や膝の筋肉が固まって、腰痛や膝痛になる。
- 内ももや裏ももを使うと体幹のインナーマッスルも機能するため、走る時の動きが安定し、腰や膝を痛めるリスクを下げることができる。
- 4つのワークで体幹のインナーマッスルから、内ももや裏ももの機能が高まる。
最後に
軽い負荷や簡単な動きで内転筋群やハムストリングスが使えない限り、走る時に使うことは絶対出来ません。基礎ができるから応用ができるわけです。
足し算と引き算ができなければ、掛け算や割り算はできないですよね?掛け算や割り算ができなければ因数分解はできないですよね?これと同じ。
基礎ができての応用です。なのでまずは基礎をしっかり固めるために、ワークを毎日毎日繰り返しおこなってください。
そして、基礎ができて更なるレベルアップをはかりたい方は股関節を柔らかく機能させるための方法を読むことをオススメします。
この記事にはブログには書いてないウォークやランニングのパフォーマンスを上げるためのワークや解説動画を載せてあります。
ご興味のある方はぜひ読んでみてください。