腰や膝などの関節痛の予防・改善や、競技パフォーマンスの向上など、様々な目的の方が身体を安定させるために体幹トレーニングをおこなうと思います。
ですが、そのほとんどの人が体幹トレーニングのコツを知らないため、見た目的には筋肉はつくものの、ブレ方としてはあまり変化はありません。むしろ逆にブレが強くなってしまう人もいます。では、そのコツとは一体なんなのか?どのようにしたらブレない体幹を作る事ができるのか?
目次
復元力のある体幹
皆さんは「ブレない体幹」と聞くと、どんなイメージがわきますか?多分ほとんどの方が「腹筋が割れてて、ガチガチに固まった強そうな筋肉」をイメージすると思います。
確かにこういった筋肉は体幹が強そうに見えますよね。多分見た目で言えば、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手の体幹が理想に近いんではないでしょう。この体幹を目指す男性は結構多いと思います。
ですが、見た目で腹筋が割れてても、ガチガチに固まった筋肉では、逆にブレが強くなってしまうことを皆さんご存知でしょうか?クリスティアーノ・ロナウド選手は腹筋は割れてるけど、ガチガチに固めてない。むしろ柔らかくしなやかな筋肉の持ち主です。
剛構造と柔構造
なぜ体幹をガチガチに固めるとブレてしまうのか?その理由を建物を例にとって説明します。
耐震構造の考え方の1つに、建物の剛構造と柔構造のというものがあります。
剛構造
地震が起きても建物自体は変形せず、建物全体が揺れる。建物の高さを高くするほど上層部の揺れ は激しくなり、揺れる力によって建物が折れる可能性がある。
柔構造
地震が起きても建物自体が柔らかくたわみ、下の階から上の階へと順に揺れる。 たわみが地震の揺れを吸収するので骨組みにかかる負担が少なく、建物が折れにくい。
引用元:「建築のすべてがわかる本」 藤谷陽悦 他著より
と、このような特徴があり、剛構造になると衝撃を吸収できないため、倒壊の危険性が高まり、柔構造だと衝撃を吸収できるため、倒壊の危険性が低くなります。この考え方は人間の身体にも当てはまることです。
身体を固めるということは剛構造型の身体にしていることになります。剛構造になれば衝撃を吸収できないため、コンタクトスポーツ、例えばサッカーであれば相手にタックルされたらすぐに倒されてしまいます。先程名前を出したクリスティアーノ・ロナウド選手を知ってる方はご存知だと思いますが、彼は倒されませんよね?もちろん限度はありますが、相手から必要に攻められてもなかなか倒れません。それは柔構造形の身体で、衝撃を吸収してそこから元の体勢に戻す力、つまり復元力のある体幹をもっているからです。
この「復元力のある体幹」は私達のような一般人にももちろん必要なもので、これを持っていれば日常であればブレることが少なくなるため、ケガや関節痛をおこすリスクも下げられますし、スポーツをしている方はその取り組んでる競技のパフォーマンスを上げることができます。
復元力のある体幹を作るには?
復元力のある体幹を作るには、まずショックを吸収するために負荷を分散させて、なおかつ複数の筋肉を連動させて大きな力を出せるように加算する。分散加算が必要になります。
分散
分散できないと負荷を一点に集中させてしまいケガをします。例えば、サッカーでタックルを食らったときに負荷が腰に集中してれば腰を痛めたり、膝に集中してれば膝を痛めます。ですが、腰や膝以外の股関節や背骨が機能すれば、その負荷を分散させることができ、ケガのリスクを下げることができます。
加算
加算ができないと一つの筋肉で大きな力を出さないといけないので、筋肉に大きな負担をかけます。そして、一つの筋肉だと出せる力にも限度があるため、例えばまたサッカーで例えると、タックルを分散して吸収できても、押し返す力がなければ元の体勢に戻すことができず、結局あたり負けします。ですが、加算ができれば複数の筋肉で力を発揮するため、一つの筋肉にかかる負担は少なく、大きな力を出すことができるため、相手を押し返して元の体勢に戻すことができます。
復元力のある体幹を作る
クロスポイント
クロスポイントは筋肉が集合する交差点です。そこを刺激することにより、一つの動作でより多くの筋肉を機能させることができます。
詳細は下記の記事を、
LINE@登録者は限定記事と合わせてご確認ください。股関節の機能を高めるワーク
体幹の筋肉と関係の深い筋肉が内転筋や裏もものハムストリングス。この筋肉を機能させることにより、股関節の機能が高まり体幹と下肢を連動させることができるため、より分散加算がやりやすくなります。
割膝
- 足は前後に開き、骨盤は前を向け、後ろ足は伸ばす。
- 前足の膝を軽く曲げ、みぞおち(へそから指4本上)の力を抜き、丸めていく。
- その状態で内転筋とハムストリングスを叩く。
四股立ちで内転筋・ハムストリングス叩き
- 脚を肩幅の2倍に広げ、つま先をハノ字にする。この時みぞおちは丸め、お尻の穴を真下に向けておく。
- その体勢のまま軽く股関節を曲げお尻を下に落とす。
- その状態で内転筋やハムストリングスを叩く
LINE@登録者は両ワークとも限定記事と合わせてご確認ください。
立甲ワーク
上肢と体幹のつなぎ目にある前鋸筋(ぜんきょきん)。この筋肉を機能させることにより、上肢と体幹が連動して機能し、こちらも分散加算がやりやすくなります。
ただ、立甲はかなり難易度が高いので下記の記事に書いてある、「立甲ができるまで」の練習方法を順を追ってできるところまでやってください。
LINE@登録者は限定記事と合わせてご確認ください。全てを統合して体幹トレーニングをする
体幹トレーニングも様々な種類がありますが、今回は最もポピュラーな「プランク」での身体の使い方をご紹介します。
- 腕はわきを締めた感覚のまま手をつき、わきで地面を押し込む。(わきで地面を押し込むとみぞおちを丸めやすくなる)
- みぞおちの力を抜いて丸める。
- 骨盤も少し丸めて坐骨付近に軽く力を入れる。
- その状態で30〜60秒キープする。
最後に
同じ体幹トレーニングでも使い方をしっかり意識しながらやるのと、ただやるのとでは効果もそうですし、トレーニング最中の感覚もまるで違います。やってみるとわかると思いますが、使い方を意識するとトレーニングがとても楽に感じます。それはサボってるとかじゃなくて、負荷を分散できてるから辛くないし、加算もできてるから長時間・高回数できます。機能的なブレない体幹を作るには、今回ご紹介したワークをしっかりおこない、体幹トレーニングも使い方を意識しながらおこなっていきましょう。